So-net無料ブログ作成
検索選択

むかし、「8ミリ映画」があった。 [小型映画ミニミニ博物館]

P1030925b-3.JPG  小型映画ミニミニ博物館―3

むかし、「8ミリ映画」があった。
どう違う? ビデオと8ミリ

P1020494-2.JPGP1020505-ok.JPG
●「小型映画ミニミニ博物館」の展示品の一部

 スポーツの秋、カルチャーの秋ですね。地域の文化祭、芸術祭にはじまって、子供たちの学校や町内の運動会、あるいは音楽・舞踊・コーラスの発表会。そしてまた秋は結婚のシーズン…と毎週のようにイベント続き。ビデオをお持ちの方はあちこちで撮影を頼まれて、大忙しではないでしょうか。今からおよそ30年ほど前の親御さんたちは、同じことを「8ミリカメラ」を使ってやっていたのでした。

この「小型映画ミニミニ博物館」のカテゴリーでは、戦後の復興が功を奏し、日本の経済が右肩上がりの成長を見せ始めた頃に人気を呼んでいたアマチュア用小型映画の代表格「8ミリ映画」について、当館に展示しているカメラや映写機を順次紹介しながら進めていこうと思います。展示品目は私が実際に使ってきたものと、一部当館に寄贈を受けたものです。機種は決して多くはありませんが、これをたどると一応8ミリ映画の進化の過程が分かるはずです。


SONY CX12  AVC-HD.JPGP1010537-2.JPG
●左/現在のビデオカメラ SONY ハイビジョン・ハンディカム CX12 (2008)
  右/初期の8ミリカメラ CINE KODAK 8 MODEL 60 (1930年代)  
 左右のカメラには、およそ80年の開きがあります。


●ビデオはデジタル、8ミリ映画はアナログで記録

さて、「映画」と呼ぶからには、スチル写真…「静止画」ではなく「動画」です。動画は今ではビデオカメラだけでなく、ケータイでもデジカメでも、またデジイチと呼ぶ最新鋭のデジタル一眼レフカメラでも撮れる時代になりました。これらはすべてコンピュータに端を発したデジタル技術のなせる業ですね。そしてパソコンに親しんでおられるみなさんなら世代を問わず、それらの機材で写した写真や動画を、パソコン上で実に手際よく処理しておられます。これは「8ミリ映画」の時代から見たら考えられない大進歩です。

今回は先ず「8ミリ映画」とはどういうものかをお話したいと思いますが、ビデオとは全く異なる部分がありますので、もしビデオをお使いならそれと比べながら、あるいはパソコン編集をなさっている方はそれを想像しながら聞いて頂きたいと思います。

●初期の8ミリ映画は、モノクロ、サイレント、手動撮影

最初、つまり1950S25)年頃の「8ミリ映画」のカメラは標準レンズが1本付いているだけ。それが2本になり3本になり、ズームレンズを装着するようになったのは、それから約10年後でした。

撮影には8ミリ幅のフィルムを使い、シャツターを押すと連続写真として記録されます。

1本のフィルムの長さは撮影時間にしてわずか3分ちょっと。しかも初期の8ミリカメラの動力源は鋼のゼンマイ(スプリング)で、いちいち手で巻き上げてから撮影します。1回の巻上げで30秒くらいしかもちませんから、1カットごとに巻き上げを繰り返すというやり方でした。ですが、これは間もなく単三電池による電動式に代わります。

フィルムは初期にはモノクロだけでしたが、やがてカラーも登場します。けれども高価な割に発色は十分とはいえないものでした。また、初期には音声もなく、サイレント(無声映画)だけでした。
 それに比べるとビデオは初めからズームレンズ付き。バッテリー駆動で8ミリに比べたら撮影時間はまさに湯水のごとく撮り放題。しかもカラーで同時録音が当たり前ですね。


P1060354-2.JPGP1060361.JPG
●8ミリフィルム3種                         上/スーパー8(コダック)
 左/ダブル8(16mm幅の生フィルムを往復撮影後、中央から断ち、8ミリにするもの)            
 右/シングル8(富士フイルム)


●特殊効果は、勘でカメラを操作して撮影

ところで、8ミリ映画の楽しみの一つに、本物の映画のように仕上げたいという願望があります。例えば「タイトルがなきゃ、映画じゃない」。そう考える人たちは同時に、場面の始めと終わりを黒フェードにしたい(フェードイン/フェードアウト)、前のカットにダブらせて次のカットを始めたい(ディゾルヴ)、二つのカットを重ねて回想シーンを作りたい(オーヴァーラップ)…など、まさに映画ならではの表現をやってみたいのです。それが昂じると、ドロンと消えたり現れたりの忍術映画や、一人二役のトリック撮影などをやりたくなります。

こういった高度な技法は、映画会社では現像所で「オプチカルプリンタ」という特殊な装置を使って光学的な処理を施して作るのですが、8ミリ映画ではなんと、それを撮影の時点でやらなければならないのです。

これらのテクニックは、撮影しながら「絞り」を操作したり、二重写し(多重露光)にするために一回撮影したフィルムを巻き戻す必要があります。そのためには「絞り」が完全に絞り込まれる(絞り切り機構)ことや、フィルムの巻き戻しができる(巻き戻し機構)ことがカメラ側に要求されます。こうした機構を備えた機種は当然高価なものとなります。また、画面が絶対にぶれないようにがっちりとした三脚も必要ですし、何よりも撮影時の操作は完全に勘に頼るしかないということ。これが思いの他大変なのです。

この辺が、ビデオのパソコン編集ならお茶の子サイサイでこなせる部分ですよね。

●現像上がりを待たないと画面は見られない

このように苦労して撮影を済ませたフィルムは、現像しなければ見られません。出来上がったフィルムを光にかざせば画像を肉眼で確かめられる、というのがアナログの良いところでもあるのですが、現像所からようやくフィルムが届いても、NG画面や露出の失敗があれば、その部分は泣く泣くカットしなければなりません。
 ビデオならその場で確認できる上、
NG
ならその上から録画し直せば済むことですね。

●削って、塗って、重ねて、押して…のフィルム編集

 映画づくりの要は編集ですが、これがまた「8ミリ映画」では手作業100%。編集には画面を確認するための「エディター」と、フィルムをつなぐための「スプライサー」を使いますが、2つのカットをつなぐのは「フィルムセメント」という揮発性の接着剤です。
 接着剤がよく付くように両方のフィルムの接合箇所をヤスリで削り、そこに接着剤を塗って、フーフーと息を吹きかけてある程度液を飛ばしてから、2つのカットを重ねてスプライサーで押し付け、乾くまで
15
秒ほど待ちます。これでようやくカットがつながります。
 このあたりも、もしあなたがパソコン編集の経験者なら、たった
1
タッチで済む作業なのに…ということがお分かりでしょう。

IMGP5497.JPG●8ミリ映画用エディター(編集機)

 さて、「8ミリ映画」のいかにもアナログ的な特徴、お分かりいただけたでしょうか。8ミリ映画もそうこうしているうちにカラーが主力となり、やがて磁気トラックによる同時録音も出来るまでに発展します。
  ところが皮肉なことに、それはちょうどビデオ時代の到来と重なりました。1980年頃から8ミリ映画は次第にその座をビデオに譲り、およそ30年に亘った8ミリフィルムに画像を記録する時代は幕を下ろすことになるのです。

ウイルスバスター公式トレンドマイクロ・オンラインショップ
nice!(19)  コメント(27)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 19

コメント 27

sig

yamagatnさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-14 09:18) 

甘党大王

8ミリって言うと・・・カタカタカタって(^^ゞ
イメージしちゃうのは(*^。^*)頭固すぎ?
by 甘党大王 (2008-10-14 10:45) 

kontenten

或る映画の1シーンで、小林薫さんが・・・
『フジカシングルエ~イト』って言うセルフがありました。
実は、私も子供時代欲しかったのですが、あまりにも高価で
親父に『欲しい』とも言えないくらいの代物でした(w)
結局、子供が出来て、買えたのは・・・
ビデオ8(ソニーの小型ビデオ)でした。
一応編集機(当時10万前後)も買ったのですが、一回も使わず
つくづく、動画には向かないと確信しました(><)
なので、今はデジタルも35mmも645も静止画です(^^)
by kontenten (2008-10-14 10:48) 

sig

甘党大王さん、こんにちは。
それでいいんですよ。そのカタカタがいいんですよね。
昔の8ミリ機材やフィルム、どうされていますか。フィルムはできればビデオ化するといいんですけどね。テレシネといいますが、自宅で上映して、それをビデオで撮影するだけでもいいんです。
by sig (2008-10-14 11:35) 

ねこじゃらん

すごい手作業だったんですね。
撮影にも編集にも、すごく想像力がいりそう。
まさにクリエイティブな作業だったんですね。^_^
by ねこじゃらん (2008-10-14 11:42) 

sig

kontentenさん、こんにちは。
ビデオの高価な編集機、使わずじまいとはもったいない!
でも、その頃のビデオ編集はかなり専門知識が必要で、だれでも出来るというものではありませんでした。
今はパソコンで、ウソのように簡単になりましたから、ぜひもう一度、kontentenさんのパソコンに最初から入っているWindows Moviemakerを使ってやってみたらいかがでしょう。楽しく動画を遊べますよ。特にネコちゃん撮影には絶対、動画ですよ。動画から静止画を取り出すことも出来ますしね。
by sig (2008-10-14 12:02) 

walz

最近、写真を趣味にしていますが、動画にも興味があります
ただ、凝り出すと時間と金銭的に辛くなりそうなので動画の方は我慢してます(^_^;
by walz (2008-10-14 12:58) 

sig

ねこじゃらんさん、こんにちは。
8ミリもそうですが、ビデオもデジタルになるまではたくさんの機材が必要で、編集作業も大変でした。
今はパソコンと編集ソフトだけで、それまでと比較にならないくらい簡単に操作することが出来ます。確かに以前は手作業ということで創造性も想像力も要求されましたが、現在の方が、よりクリエイティブな部分に全力投球できるようになったと言えるかもしれません。
コメント、ありがとうございました。
by sig (2008-10-14 16:06) 

いぬ

sigさん こんにちは
8ミリとても手のかかる作業だったのですね
それだけに作品は大切な物に
カメラもですが
昔はピンボケの写真も捨てられませんでした
今は その場で消してしまいます
簡単便利とても良いですが
後に残らなかったりして なんて思うことあります
by いぬ (2008-10-14 16:09) 

sig

walzさん、こんにちは。
動画は楽しいですよ。上にも書きましたが、パソコンを使えば比較的簡単に動画をいじれますから、ぜひ渡来してみてほしいですね。
by sig (2008-10-14 16:09) 

sig

xml_xslさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-14 16:10) 

sig

いぬさん、こんにちは。ようこそ。
ほんとにそうですね。手を掛けたものは簡単には捨てられませんね。
私も8ミリフィルムは高価なものでしたから、ピンぼけや一部感光したような画面もなかなか捨てられませんでした。
ところがビデオテープは安いものですから、どんどん撮って、NGはガンガン捨てられるようになりました。動画の場合、編集では思い切って捨てないと
長くなりすぎるのです。(捨てるといっても、消してしまうのではなく、ただ使わないだけなので、撮影したオリジナル画面は残っているのです)
by sig (2008-10-14 16:18) 

sig

チョコシナモンさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-14 16:19) 

sig

lamerさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-14 16:20) 

puripuri

随分と昔からあったのですね。テープをカットしたり張り合わせたりと、当時は
大変な手作業だったのですね。
兄はテープレコーダーのテープを、同じ様な事をしていました。
by puripuri (2008-10-14 19:29) 

みかっち

泣く泣くカット というところに辛さが滲み出ていますね。。。
とても悔しかったでしようね。。。
1コマ1コマへの思い入れが伝わってきました。
私ももっと、ひと押しひと押しを大切にしなきゃ、、、
by みかっち (2008-10-14 21:39) 

sig

puripuriさん、こんばんは。
いつの時代でもそうだと思うのですが、大変だったと思うのはそれより技術が進歩してからのことで、その時その方法しかなければ誰も疑問に思わずに、普通のこととしてやってきたのですよね。
ただ8ミリ映画の場合は、お金がかかること、編集では展開を考える必要があること、技術的にも難しかったことなどで、誰にもできるというものではなかったと思います。
その分お兄さんのように、8ミリをやる人は始めから極めようという取り組み方の人が多かったと思います。
「マガジン、ポン! 誰にでも写せます」とは言っても、それはあくまでも撮影の段階だけで、その後の編集作業は決してやさしいものではなかったのでした。
いつもコメントありがとうございます。
by sig (2008-10-14 22:00) 

yann

8ミリには映写機が必要なんですよね。
部屋を暗くしてまさに映画の味わい。

by yann (2008-10-14 22:18) 

sig

みかっちさん、こんばんは。
「石油の1滴、血の一滴」のように、まさに「フィルム1秒、血の1滴」でした。
たった3分のフィルム1本が、現像料、現像所への往復送料を含めて、当時のお金で1000円前後したと思います。
今はデジカメで、タダ同然で湯水のように静止画や動画を撮っていますが、
おっしゃるとおり、1コマ1コマ、1カット1カット気を入れて撮らなあきまへんね。自戒をこめて・・・。(笑)
by sig (2008-10-14 23:30) 

sig

yannさん、こんばんは。
そうなんです。当時はテレビもありましたが、8ミリは今のビデオのように、写してすぐにテレビで見るというような訳には行かないのです。
全く別のメディアでした。
必ず部屋を暗くして、映写機で上映。
その感じがまさに「映画」ならではの楽しさでしたね。
by sig (2008-10-14 23:36) 

sig

ChinchikoPapaさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-14 23:38) 

sig

furukabaさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-15 18:37) 

sig

BlackTigerさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-17 20:43) 

sig

Ja-Kou66さん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-17 20:44) 

sig

kemmさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-18 17:48) 

sig

Qooさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-10-27 23:28) 

sig

いっぷくさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2009-05-04 07:07) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。