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<一眼レフ、ズーム、自動露出> 夢の時代到来 [小型映画ミニミニ博物館]

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<一眼レフ,ズーム,自動露出> 夢の時代到来
YASHIKA  U- matic S 
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●「YASHIKA8  U- matic S」 一眼レフ、3倍ズーム、自動露出  けれどもまだ電動式ではない。

 こんにちは。今回ご覧頂く8ミリカメラは「YASHIKA  U- matic S」です。
このカメラは前回ご覧頂いた「YASHIKA8―T2」の後継機にあたります。どこがどのように進化したのでしょうか。 

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●前の機種YASHIKA8―T2」 オプションだがズームレンズも備わっていた。

●それは、1961S36)年のことだった
 
T2」の発売は1957年。「U-s」は1961年。この3~4年の間に測光方式などのオプティクス(光学技術)とトランジスタに代表されるエレクトロニクス(電子技術)の分野が急速に発展しました。そして、それらの技術が結びつきあって(後にオプト・エレクトロニクス=オプトロニクスと呼ばれる)、身近なところではラジオやテレビなどの家電関係に関わりをもちはじめました。その流れがカメラにも及んできて、8ミリカメラも大きな転機を迎えることになりました。

 そこでメーカー各社が競って取り組んだのが「一眼レフ、ズームレンズ、自動露出」、この3つを備えた8ミリカメラの実現だったわけです。この3つの機能は、今ではビデオでもスチルカメラでも常識ですよね。その起源とも言うべき発想が、
50年も前にすでにあったということですね。例によってヤシカは、いつもの勤勉さでこの3つの難問を早々にクリア。他社では高級機として売り出すレベルの多機能カメラ「YASHIKA8  U- matic S」を、思い切った大衆価格で売り出したのでした。
 

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●左/一眼レフの仕組み ファインダーで視認したとおりに撮影できる。
 右/3倍ズームレンズ その上部はEEと呼ばれた自動露出の測
光窓

●ズーム比はわずか3倍。それも手動で
 「YASHIKA8  U- matic S」が8ミリファンに大歓迎で迎えられたのは、何と言っても一眼レフ、ズームレンズ付きという魅力です。まずファインダーで見た通りに写し撮れるということ。それまでのように、ファインダーで確認したのに頭が切れてしまったというようなパララックス(視差)による失敗がなくなりました。
 そして夢にまで見たズームレンズ。それまではターレット方式で、広角、標準、望遠と3本のレンズを切り替えて撮影していたものが、レンズ交換不要。1本で広角から望遠までの機能を備えている上、何よりも魅力的だったのは、本当の映画のように被写体を連続的に引き寄せたり、引き離したりする映像効果を手にすることが出来たことでした。これこそ映画ならではのテクニックですからね。今ではズームといえば10倍程度が当たり前ですが、「YASHIKA8  U- matic S」のズーム比はわずか3倍。でも、それがこの当時の8ミリカメラのズームレベルだったのです。

●トンボの目玉のようなEE露出計
 
次の大きなメリットは、エレクトロニック・アイ…EE方式というものが導入されて露出が自動になったことです。イクラかトンボの目玉のようなガラス玉が並んだ集光パネルをご記憶の方も多いと思います。これは一種の太陽電池で、露出計内のセレン素子が光の強さに応じて電流を発生し、その力でカメラの絞りを働かせるというものだそうです。撮影の際にはフィルム感度をカメラにセットしておけば、適正露出が得られるわけです。また、EE露出窓には2倍と4倍のマスクを付けて入射光量を調節できるようになっていますので、現在の「逆光補正」や「雪山モード」のように、逆光や反射光が極端に強いような場合の露出補正が出来たのでした。

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●左/フィルムの感度合わせ指標と自動露出の絞り表示窓
 右/EE採光窓に取り付けた、2倍と4倍の入射光調整フレーム

   
 
YASHIKA8  U- matic S」のレンズの奥を覗き込みますと、2枚の絞り羽根が見えます。これが50年近くも経っているのに、レンズの向きを変えると光の強さの変化に実にスムースに反応します。電池不要の仕組みであればこそ、未だに自動絞りは健在なのです。 

●特殊撮影用の機構もしっかり踏襲。ただ、問題は…
 
YASHIKA8 U- matic S」は「T2」と比べると、撮影駒数の種類がやや減りましたが、もちろん通常の撮影に影響するものではありません。そればかりか、フェードイン/アウトの撮影に欠かせない完全な絞り込み。特殊効果を可能にするフィルムの巻き戻し機構。マニアに不可欠な1駒撮影。こうした特殊な仕組みもしっかりと踏襲されていました。
 ただ、バッテリーを使うことがまだ考えられていなかったため、フィルムを回すための動力は相変わらずスプリング(ぜんまい)でしたし、ズームはズームレバーを指で回す手動式でした。

 そして一番の問題は困難を極めるフィルム装填です。日中、生フィルムが巻かれたリールを扱わなければなりません。それもフィルムの供給軸と巻き取り軸に同時に二つのリールをはめながら、フィルムをゲートに通すのです。慣れないうちはリールに巻かれた生フィルムが緩んできて中まで感光してしまったり、落っことして全部感光させてしまったり…。ダブルエイトは16ミリ幅のフィルムを往復撮影しますから、片側を撮影したあと、もう一度この作業を行わなければなりません。こういった難しさが付きまとっている限り、8ミリのファンはそれ以上増えそうもありませんでした。

 ところがやがて、その問題が解決される時がやってきます。そう。それはダブル8を駆逐して、瞬く間に8ミリファンを獲得していくのですが、そのあたりについては次回の「ミニミニ博物館」に譲ることにしましょう。
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●左/撮影駒数ダイヤル 1秒8駒の低速と32駒の高速撮影が可能
 右/レリーズを使っての1駒撮影で、アニメーションも可能

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●フィルム装填の実際(説明付き)

■諸元
名  称 YASHIKA8  U- matic S
メーカー ヤシカ(日本)
発売年度 1960 or  1961
タイプ  W(ダブルエイト)方式 一眼レフ
本体材質  ダイキャスト
駆動方式 スプリング式 標準撮影(1秒16)で最大35
レンズ  YASHIKA8  Reflex Zoom Lens 
        
1:1.8
9mm(標準)28mm(望遠) 光学3倍ズーム(手動)  フィルタ径 48mm 
撮影駒数 1.8.16.24.32駒/秒  
特徴   ・EE(エレクトリックアイ)測光による自動露出      
      
ASA感度40まで自動、マニュアル調整も可能
     
・絞り込み機構によりフェード撮影可能
     
・フィルム巻き戻し機構により多重露光可能
     ・1駒撮影機構によりアニメーション可能
カメラ重量 フィルム装填時 1.6kg(グリップとも2kg) 
発売時価格 本体24,600円 ピストルグリップ 1,200円 皮ケース 2,000

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●ピストルグリップを付けた「YASHIKA8  U- matic S

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ビデオの「編集」はめんどう、という前に・・・ [小型映画ミニミニ博物館]

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ビデオの「編集」はめんどう、という前に…
「ダブル8」の編集の実際-①

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●ミッキーのうしろの文字は「25」。
 1980年、ご本家ディズニーランド・25周年パレードの動画が下にありますよ。

 こんにちは。「昭和館」館長兼キュレーター(学芸員)、ひさびさの登場です。

「小型映画ミニミニ博物館」のカテゴリーでは、前回までダブル8(W8)と呼ばれた8ミリ映画のカメラ機能と「撮影」の仕方についてお話してまいりました。今回は撮影後の「編集」についてお話しましょう。

もしあなたが今ビデオをおやりなら、8ミリ映画もビデオも同じ動画ですから「編集」については共通する部分も出てきます。その部分は頭の中でビデオづくりに翻訳して聞いてくださいね。

●暗くしなくちゃ「映画」じゃない

 現在ビデオを楽しんでおられる人たちに「編集」の話をすると、大半は「そんな面倒くさいこと」と言われてしまいます。また「上映」という話をすると、「そのままテレビで見ればいいの」と軽くいなされてしまいます。まあ、それが一般的なビデオの楽しみ方だと思います。
 けれども昔の8ミリ映画はとてもお金のかかる趣味ということもあって(それはビデオも変わりないのですが)、それを楽しもうとする人たちの多くは、ただ撮りっぱなしではなく、「自分の手で映画を作りたい」という強い創作意欲を持った人たちが多かったのです。


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●ダブル8映写機「セコニック80-P」1962 このスタイルと回転音がたまらない。


  確かにフィルム(アナログ)の編集は大変です。それはパソコンで編集するビデオ(デジタル)の比ではありません。また、上映するにはいちいち部屋を暗くしなければなりません。でも、作りたいのは「映画」なんです。見たいのは例えポプコーンはなくても、暗い映画館の雰囲気でスクリーンに映る映像を見たいのです。ですから手間を掛けることは当然のこと。むしろ手間を掛けて編集し上映すること自体が大きな喜びであり、8ミリ映画の醍醐味はまさにそこにあったのです。

●編集以前に切り取らなければならないものがある

 最初の8ミリ映画、つまり「ダブル8(W8)」は、編集以前にまずCUT(切り取る)しなければならない部分があります。それはフィルムの頭とお尻。現像所からは、16ミリフィルムを往復撮影したものを、現像後に真ん中から裁断して8ミリ幅で1本につないだものが送られてくるだけなので、撮影する時にリーダーとなるフィルムの頭とお尻は感光していて使えないのです。最低限これはCUTです。(これは光学的に記録するフィルムの特性で、電子的に記録するビデオでは全く関係ありません)


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●現像所から戻ってきたダブル8フィルム リール直径72ミリ 上映時間約3分20秒 

  それから
NGNo Good)部分。NGの代表はピンボケです。これは文句なしにCUTです。それから、良く写っているのだけれど、ねらい通り撮れなかったカット(1場面)。例えば、カメラを右から左へパンしたら、途中でカメラの前を人が横切った、というような場合です。これも残念ながらNGです。8ミリを始めたばかりの頃は、フィルムは高価で1320秒程度の長さしかありませんから、CUTなんてもったいなくてとてもとても。
  ところが、「観客あっての映画」と考えれば、観客にとって不快なもの、内容的に不要なものはやはり外しておくべきなのですね。これだけの下準備のあと、編集作業に入ることになります。

●ところで、「編集」って、何?

編集とは簡単に言えば撮影された画面を入れ替えることです。なんで? 

例えば子供たちとディズニーランドへ行った1日を撮影したとします。ゲートを入り、いろいろなアトラクションを見て、お昼を食べ、パレードを見たあとはライドをはしごして、またアトラクション。そのあとスーベニールで買い物をして、花火を見て帰りました。……これでは「朝起きて、顔を洗って、ご飯を食べて、家を出て…」という日記や作文と同じです。ま、それでもいいでしょう。
 とは言っても、ゲートを入る前に別のカットが撮影されていたとしたら、もうそこでカットを入れ替える必要が生じます。それが「編集」の第一歩なんです。

例えば、ミッキーのお出迎え(グリーティング)から始めてみるとしましょうか。ここがどこで、何が始まろうとしているのか、という期待を持たせておいて、実はライドも食事もショッピングも全部CUTして肩透かし。つなぐのはディズニーランドの中で出会ったキャラクターたちだけ。次々と現れるキャラクターたちとはしゃぐ子供たちの楽しそうな顔、声、しぐさ…。そしてクライマックスは、それらすべてのキャラクターが登場するパレードです。声を上げて手を振る子供たち。応えるキャラクター…。そんな感じで盛り上げれば、ディズニーキャラクターと子供たちという明確なねらいを持った映画に仕上がり、楽しかった1日の思い出がより強く子供たちの記憶に残るのではないでしょうか。

このように、撮影した順番を入れ替えて再構成する…つまり、撮影されたカットをストーリーに添って並べ直す……それが「編集」なんですね。

でも、このストーリーを元に実際に映画を作るとなると、1日のお休みだけではキャラクターとの出会いが少なくて、ヒルトンやシェラトン、ホテル・ミラコスタなどの高級ホテルに何泊も宿泊することになってしまいますね。これはあくまでも例えばのストーリーです。

 
●編集例「カリフォルニア・ディズニーランド 25周年パレード」2分21秒
これは1980年、カリフォルニア・アナハイムのディズニーランドで撮影した25周年パレードの一部です。当時の8ミリは同時録音ができないため、カセットテレコ(小型録音機)でパレードの撮影といっしょに録音し、あとで実況音をフィルムの磁気録音帯にダビングしました。このように昔はビデオと違い、画面と音声を同時に記録することはできなかったのです。
1980年にはダブル8方式はすでになく、これは「シングル8」で撮影したものです。 


●編集は「切った、貼った」の孤独な世界

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●編集機(エディター) 
 東芝ハイルック・オールマイティ(ダブル/シングル共用)
 左腕に送り出し(供給)リールを掛け、右腕に完成時間長のリールを掛けます

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●LPL製フィルムスプライサー(フィルム接合機)1000円
 フィルムを切断したり、フィルムセメント(右上のガラス瓶)を使って接着する器具です

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●リールサイズのすべて 
 左から50ft 100ft 200ft 300ft 400ft(約30分)

 8ミリ映画の編集では「編集機(エディター)」と「スプライサー」と呼ぶ二つの道具を使います。編集機は真ん中に画面をチェックする窓、その両脇に腕を広げた形のアームがあって、左にフィルムが巻かれたリールを、右に巻取り用の空リールをはめます。

  リールの大きさのいちばん小さいものは現像所から上がってきたばかりの50フィートリールです。直径73ミリ(約3分20秒)。長い作品はそれを何本もつなぐわけですから、右の巻き取りリールはあらかじめ全体で何分の作品にまとめるかを検討して、大き目のリールを掛けておく必要があります。7分程度の作品にするなら100フィートリール、15分なら200、20分なら300、30分なら400フィートリールという具合です。

 こうして準備が整ったら、いよいよ編集です。妻を棄て、子をも棄て、食事も後に回しての孤独な旅ガラス。フィルムを「切った貼った」のヤクザな世界に没入していくことになります。(「張る」の文字が違いますけど)
その技術的手順については次回に。

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「編集はいやだ」といいながら、みんなやっている [小型映画ミニミニ博物館]

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「編集はいやだ」といいながらみんなやっている

8ミリの編集手順を、ビデオで撮影・編集してみました


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●披露宴ビデオ、ノーカット2時間を喜んで見てくれるのは身内だけ。
 (この写真のご親族には関係ありません)


「小型映画ミニミニ博物館」、前回はビデオにも共通の「編集」の考え方について、さわりだけを軽く触れておきました。今回は、では「切った、貼ったのフィルムの編集」とは具体的にどのように行うのかをお話しましょう。


●編集手順の説明は、文章では回りくどい

 「編集」の技術的な基本は「切断と接合」です。これはビデオも同じです。でも、その方法は電子記録(デジタル)のビデオと光学記録(アナログ)のフィルムでは全く異なります。ビデオで「切断と接合」というのは単なるパソコン上の操作であってオリジナル映像は元のままですが、フィルムでは本当にフィルムを切断するし、本当に接着剤を使って接合するのです。

さて、その手順ですが、8ミリ映画では…

①.切断箇所2箇所をマーキング
まずフィルムを明かりに透かして切断する箇所を決めます。切断した箇所は別のカットとつなぐ訳ですから、もう一方のフィルムの接合箇所の見当もつけておきます。

 大まかなつなぎなら見当でいいのですが、細かい編集では「編集機」に掛けてハンドルを回し、画面を見ながら目印をつける(マーキング)こともできます。

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●エディター 画面を見ながらフィルムの切断箇所をマーキングする

②.2箇所を切断して、使わないカットを抜く
そのフィルムを、画像が映っている幕面(エマルジョン)を上にして「スプライサー」に掛け、両方とも見当(目印)箇所で切断します。

その時、自動的に両方のフィルムの接合箇所が重なるように切断されます。

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●スプライサー(8ミリ/16ミリ共用) 右はフィルムセメント(接合材)

③.2箇所をフィルムセメントで接合する
その接合箇所を「スプライサー」についているヤスリで軽く削り、そこにフィルムセメント(接合剤)を塗って押し付けると両面が溶けて接着されます。セメントは多すぎても少なすぎてもうまく接着できません。そこは勘です。このあたりがアナログならではですねえ。

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●フィルムセメントがよく接着するようにヤスリでフィルムの膜面を削る。
 これぞアナログ!

④.乾かして接合完了
さて、そのまま
1015秒ほど待つと接合剤が乾くので、フィルムをスプライサーから外します。2枚のフィルムが重なった接合箇所はまだ柔らかいので、U字形に曲がらないように注意します。曲がって固まってしまうと、映写するときに画面がガタッと揺れてしまいます。

 これで1箇所の接合が完了します。同様にたくさんのカットをつなげていってようやく1本の作品が出来上がります。文字にすると複雑そうでしょ。そう、詳しく説明するといくらでも複雑に書けちゃいます(笑)。

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●スプライサー上の8ミリフィルム接合箇所

●説明文と「動画」のどちらが分かり易いか

で、「百聞は一見にしかず」。こうした難しそうな動作を分かりやすく伝える手法として「動画」があるんですね。では、上の手順を「動画」にしたものをご覧ください。
 私のW8(ダブルエイト)のフィルムはすでに劣化して全滅してしまいましたので、ここでは16ミリフィルムを使っています。W8 16ミリフィルムをそのまま流用した規格なので、同じスプライサーが使えるのです。またブログでの動画再生時間の都合上、上記②の段階から始めていますのでご了承ください。

 ●16ミリフィルム スプライシングの実際 2分17秒

●別に撮ったカットがひとつの動作としてつながる面白さ
 
たった1箇所の接合にこれだけのプロセス。慣れるまでは大変でした。それと比べると現在の「パソコン編集」では、編集ソフトのタイムラインに撮ってきた動画を並べて、CUT(切断)もワンタッチ、画面の入れ替えもワンタッチ。あっという間に済んでしまいます。本当に、昔、8ミリ映画をやっていた者には隔世の感がありますね。

ところでこの動画、DV(デジタルビデオ)で撮影したのですが、動作を分かりやすくするために、ここでも「編集」がなされていることにお気づきでしょうか。つまり、動作の全体をまず通して撮影しました。そのあとで、大事なポイントがよく分かるように、何箇所かをアップ(大写し)で別に撮影しました。それをあたかも一連の動作に見えるようにつないであるんです。このような編集手法を「アクションつなぎ」といいます。その際、画面のつながりがギクシャクしないでスムースに流れて見えること。これがうまくいくと、観客はカットが変わったことが気になりません。一つの継続した動きとして見てしまうからです。そうすれば大成功。このように「アクションつなぎ」はどこか職人芸に通じるようなところがあります。「編集」の醍醐味…それはこういうところにあるんですね。

「アクションつなぎ」はこの例のような、手順を見せるシーン、何かを作り上げていくシーン、あるいは登場人物の動作をフォローするときなどに使われます。映画、テレビドラマ、ドキュメンタリー…。気をつけてご覧になると、いかに多くのシーンがこの手法で編集されているかがお分かりになると思います。

「編集」はパズルです。撮ってきた映像を並べ替えると別の意味が生まれます。それを応用して、自分の意図した方向に観客を導くためにカットを組み替える……それが「編集」です。ただ、正直言って「アクションつなぎ」はかなり高度なテクニックです。それだけに、ビデオをうんと楽しんでみたいという方には、こんなに面白いビデオ遊びはありませんよ。

●ビデオを見る時、みんな無意識に「編集」をやっている

 「そんな話を聞いたら余計に編集なんかできなくなった」…ですって? 何をおっしゃいます。この間、親戚の結婚披露宴にビデオ撮影を頼まれて撮ってきたんでしょう。そしたら早速「早くみたい」とみんなにせがまれて、カメラをそのままテレビにつないで見せたじゃありませんか。その時どうなさいました? 「2時間ちかく撮ったんだけど、そのままじゃ長すぎるから」って、どうでもいいところは「ここは飛ばすね」といって何箇所か早送りしたでしょう。そしたら25分で見終わったじゃないですか。それですよ。「どうでもいいところは飛ばす」、つまりそこはCUTできるところだということなんです。ちゃんと編集したじゃありませんか、頭の中で。

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●上の動画のパソコン編集画面
 画面半分より下がタイムライン(部分)

 そのビデオを編集する場合は、
実際にはパソコンに同梱の「アドビプレミア・エレメンツ」「ムービーメーカー」といった編集ソフトを立ち上げて画像を読み込み(キャプチャ)、タイムラインに乗せたら、あとは早送りした箇所をカットして詰めていくだけで25分に短縮された作品が出来上がります。1カットをつなぐのに上の動画のようにややこしい作業をしなければならなかった8ミリ映画と比べたら、どれだけ編集作業が楽になったか分かりませんね。
  


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大きい方が好き? 明るい方が好き? [小型映画ミニミニ博物館]

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大きい方が好き? 明るい方が好き?
完成したムービーを「上映」して楽しむ 
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●ダブル8方式で人気の高かった「セコニック80P」映写機 400ftリールで30分の連続上映が可能

 あなたがもしビデオカメラをお持ちなら、撮影したビデオをどのように楽しんでいますか。撮ってきたらすぐにそのままテレビにつないで見られるのが、今のビデオです。
 ところが8ミリ映画の場合は、映写機がなければ観ることができません。そのため、日中なら必ず部屋を暗くしなければなりませんでしたし、夜を待って上映するしかありませんでした。その代わりスクリーンに映し出される映像は横
1mはある大画面です。ところが最初の頃は音声が付かないサイレント(無声)映画。暗闇の中で聞こえていたのは映写機の回転音でした。

●お客様は神様です。映画(ビデオ)づくりのTPO
 ビデオにも8ミリ映画にも共通して言えることは、観客あっての映像だということです。観客といって大げさなら、あなたの作品を観てくれる人のことです。その意味でご家族やお友だちはもっとも身近な観客と言えますね。撮影し、編集してまとめ上げたものは、最終的にお客様に見てもらってはじめて完結する訳ですね。

 そう考えると前回のおさらいになりますが、見やすく分かりやすい画面を撮ることが大切です。それには特別な意図がない限りカメラはあまり振り回さずに、(ズームもむやみに使わずに)しっかりとカメラを押えて撮ること(フィックス撮影)が基本だということですね。
また、1本の作品が長すぎるのも困ります。観客が飽きないうちに盛り上げて終わる…これは編集段階での留意点でもあります。

 このように、「何のために上映するのか、誰に見せたいのか、どんな機会に(場所で)見せるのか」……この映画(ビデオ)づくりの
TPO
を頭に入れて、すべては「上映」のために、「撮影」も「編集」も考慮したいものですね。

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●どこか血が通った人の体内を思わせる、アナログ独特のぬくもりと存在感。

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●「セコニック80P」
  低電圧で省電力。小型堅牢。内部を観察すると写真を動かす仕掛けがよく分かる。
 主要な歯車やベルトも金属製というのも信頼性が高い。


●白壁でも白紙でも、白ければ何でもOKのスクリーン
 
そこで8ミリ映画の「上映」ですが、これはテレビにつなぐ訳にはいきません。必ずスクリーンによる上映になります。スクリーンはフラットな白紙でもいいのですが、商品としては、白い厚手の布にガラスの粒子を吹き付けた「ビーズスクリーン」がポピュラーでした。これは画面の反射率を高めて明るくするためですね。スクリーンは普段は巻き込んであって、使うときに広げて壁に掛ければ準備OKです。簡単な三脚も付属していましたから、床とか畳の上に立ててスクリーンをそこに掛けることもできました。
 またあとからは、日中完全に暗くできなくても比較的画面が鮮明に見える、アルミ箔を使った「デイライトスクリーン」なども販売されました。

 
スクリーンの大きさは家庭用では横1m前後が一般的だったと思います。これは映写機の設置場所としておそらく一般家庭の6畳間が想定され、一方の壁面にスクリーン、対面に映写機を設置してちょうどその位の画面の大きさになるのです。そうなるように映写機のレンズは多少広角側に設計されていました。
 その上、映写機をいちいち前後させないで画面の大きさをスクリーンに合わせられるように、映写機には微調整のための2倍程度のズームレンズが搭載されていました。これを最初にやったのが、日本では「セコニック80P」だったんですね。
 ちなみに私が愛用していたスクリーンサイズは、横120cm×縦90cmでした。


 この、
120cmという画面の大きさは、小指の爪ほどのダブル8の1コマをおよそ50,000倍にも拡大することになるんですね。もう画面の粒子が荒れて、それ以上の拡大は鑑賞に絶えなくなる限界であること。それともう一つ、光源である映写ランプも、6畳間のようなスペースを前提に設計されていたと思いますので、家庭用はかなり暗いランプでした。明るいランプを搭載した機種が市場に出回るようになるのは、鮮やかな色彩の再現が求められるカラーフィルムの需要が増えてからのことでした。

P1020611-2.JPG●8V 50Wは、やはり暗かった。

●大きい画面か、明るい画面か
 8ミリ映画の画面は一般にはスタンダードサイズ(標準画面)で、画面の縦横比(アスペクト比)は縦3に対して横4の比率です。これは昔からの劇場映画の画面比率にならったもので、最初のテレビ画面もこの画面比率を受け継いで3対4でした。
 また、フィルムの走行スピードも、昔の無声映画にならって1秒
16
コマで映写するようになっていました。

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●上下の歯車にフィルムを掛ける時、ループ(たるみ)をつくることが必須。 

 
さて、いよいよ上映ですが、中学時代に教わった「照度は距離の二乗に反比例する」という科学の原理が思い出されます。簡単に言いますと、画面を大きくしたいということでスクリーンと映写機の距離を2倍に離すと、画面は大きくなりますが明るさは4分の1になってしまうのです。「大きい画面か、明るい画面か」。両立させることはできませんから、まあ、大抵のところ大きな画面の方を選ぶことになると思います。

 
さあ、それでは家族も全員揃ったし、この前みんなで行った遊園地の8ミリを始めるとしましょうか。音が出ない分、画面を見ながら上がるみんなの歓声がちょうどいい効果を出して、まるでトーキー映画を観ているようですね。 

■ダブル8低電圧映写機 諸元
名  称  セコニック80P
メーカー  早苗商会
発売年度  1962(S37)
レンズ   リゾナーズーム F1.6  15~25mm
      (映写機にズームレンズを付けたのは国産初)
躯  体  金属製
光  源  8V 50W(消費電力少) 
その他   ・1コマ映写可能・電圧切替可能・逆転映写可能
      ・リールは400ftまで
大きさ   280×135×195mm
重  量  4.4kg
価  格  本体 \18,600/ケース \1,400 

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私には効かなかった扇千景さんのメッセージ [小型映画ミニミニ博物館]

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私には効かなかった扇千景さんのメッセージ
1965年。8ミリ映画に新規格登場!
「フジカ シングル-8」

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●おひな祭りは、ハイビジョンビデオの格好の被写体

  は~い、しばらくでした。sig館長の登場ですよ。
良し悪しはともかく、現在テレビは2011年7月24日の地デジ(地上デジタルテレビ放送)移行に向けて着々と歩みを進めておりますね。ハイビジョン(HD)方式による高画質時代とか。それと足並みを揃えて、家庭用ビデオカメラもハイビジョン時代を迎えて、もう数年経ちました。これまでのテープに記録するものから、カードやディスクなど全く別方式のメディアに変わってきていますね。すでにハイビジョンビデオカメラで撮ったものを、そのままハイビジョンテレビにつないで高画質を楽しんでいるという方も多いと思います。

 ところが、ハイビジョンになる前からDVテープでビデオを撮っていた人たち…、特に、編集して作品づくりを目指している人たちにとっては大問題です。まずこういった新しいメディアは、テープとは記録方式も異なるため、互換性がありません。だから従来の編集ソフトでは編集できません。またハイビジョンでは扱う情報量が飛躍的に大きくなりますから、パソコンの処理能力にも強力なパワーが要求されます。つまり、ソフト、ハードともにリニューアルしなければ、とてもハイビジョンの高画質を生かしたハッキリクッキリのビデオ作品を作り出して楽しむことはできないのです。

 技術革新はありがたいのですが、こうした不都合は新方式が生まれるたびにユーザーが経験しなければならない実に困った問題です。ほら、昔もありましたね、ビデオにおけるベータ方式とVHS方式の競合。最近ではハイビジョンDVDの規格がようやくBD(ブルーレイディスク)方式1本に落ち着いて胸をなで下ろしたところですが…。このような大きな転換期が実は8ミリ映画にもあったのです。

●「マガジン、ポン! 私にも写せます」
IMGP6214.JPG●扇千景さんのCM

 1965年(S40)5月。日本のお茶の間に流れた「私にも写せます」のモノクロCM。これが日本の8ミリ映画の流れを変えました。これまでになかった新規格のフィルムを使う「フジカシングル-8」の登場です。CMの主は当時宝塚出身の女優さんで、現在は大臣、長官、参議院議長を歴任され政界で大活躍の扇千景さん。スポンサーは「富士写真フイルム」(現在は「富士フイルム」)です。

 彼女が手にするのは片手に納まりそうなプラスチック製小型カメラ。いかにも軽そうです。横のふたを開けてフィルムマガジンをポンと落とし込む。バッテリー駆動ですからふたを閉めてシャッターを押せば、即撮影開始です。私の「ダブル8」はダイキャスト製で重さは2キロ。生フィルムの装填技術は慣れない人には無理。動力はスプリングの巻き上げ式。なんという違いでしょうか。
この簡単・軽便をアピールするCMが、それまで8ミリ映画を難しいものだと敬遠していた人たちを一気に引き付けて、8ミリブームをもたらしたのでした。

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●「マガジン・ポンッ」のカメラ内部(左)と、露出しているフィルム部分(右)

●両雄並び立たず
 この1965年というのは実に微妙な時期でして、その前年が東京オリンピックだったんですね。写真メーカーであれば、ものが動画を記録するツールであるだけに、当然世界のスポーツの祭典に新製品の発売を合わせたかったはず。それがなぜずれてしまったのか。

 実は「富士写真フイルム」では、「ダブル8」の操作性の悪さで頭打ちになっている8ミリの市場を何とかしようと、1964年の東京オリンピックに向けて、1959年から新方式の8ミリ規格の開発に取り組んでいたのだそうです。ところがライバルの米国「コダック社」も同じことを考えていたんですね。富士もコダックも世界に冠たるフィルムメーカーですから、「ダブル8」が限界なら、思い切ってフィルムの規格を変えよう、ということができたわけなんですね。両者とも一番のネックはフィルム装填だと知っていましたから、それを簡単にするためにマガジン方式を考えました。これは期せずして同じだったのですが、その他の開発ポリシーは違っていました。


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●「フジカシングル8 AX100」 1.1の明るいレンズ゜は暗さに強かった。

 
富士側では、これが大変日本的なところなんですが、それまでの「ダブル8」のユーザーを考慮して、新規格でも互換性のあるシステムを、と考えて開発を進めていました。ところがライバルのコダックはアメリカの合理性が現れているところだと思うのですが、「8ミリ映画画質向上」の好機ととらえて根底から考え直すことにして開発を進めていたのでした。そしてそこには同じ8ミリ幅のフィルムでありながら、富士の1コマに比べて面積比で50%も大きい画面の拡大が図られていたのでした。

 
結果論ですが、写真の歴史は画質向上の歴史です。いかに優れたシステムも画質のすばらしさには叶いません。開発の途中でこの事実を知った富士側では、それまでも世界の8ミリ市場を寡占してきたコダックの新方式…これが「スーパー8」と呼ばれるものなのですが…それを認めざるを得ませんでした。

 社内では大変な混乱の中で急遽フィルム規格をコダック仕様に切替え、コダックの「スーパー8」とほぼ時を同じくして「シングル8」の名で発売にこぎつけたのでした。すでに動いていた生産ラインを止め、自社開発の製品を廃棄するまでしての、まさに涙を呑んでの決断だったということです。

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●クローズアップレンズを付けたAX100
  接写用の他、テレビ画面を撮影することが考えられていた。
 今日のビデオ録画の役割を、8ミリ映画が担っていたのだった。

●私の「ダブル8」歴は14年間で終焉
 
さて、「スーパー8」「シングル8」の出現で、1932(S7)年に発祥した「ダブル8」は終焉に向かうことになります。こうした動きの中で私はどうしていたかと言いますと、かなり冷ややかな目で「スーパー8」「シングル8」を見つめていました。

 なぜなら、最初の頃に発売されたカメラはあくまでも入門者を対象としたもので、ただ撮るだけ。私がやりたいトリック撮影などの高度なテクニックが一切できなかったのです。新しいフィルム規格の登場をきっかけにして新たな8ミリ映画ファンを増やそうという戦略ですから、それは当然のことなのですが、それまでにすでに7年の8ミリ映画歴をもつ身として、「今更そんなおもちゃのようなカメラを使えるか」というプライドもありました。

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●私が14年間愛用したダブル8カメラ「ヤシカ8Us」
 いろいろなテクニックが可能だった。

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●ダブル8の高級機はここまで進化していた。長尺マガジンを搭載した「エルモ」。

 ということで、私はそうした高度なメカニズムを備えたカメラが登場するまで、つまり「スーパー8」「シングル8」の市場が熟すまでは、それまで通りずっと「ダブル8」の「ヤシカ8Us」を愛用していたのでした。私の「ダブル8」歴は1958(S33)年8月から1972(S47)年10月までの14年間となります。
 「スーパー8」「シングル8」の特徴対比については、次回の「
小型映画ミニミニ博物館」でお話することにしましょう。

■諸元
名  称   フジカシングル8 AX100
メーカー   富士写真フイルム

発売年度        1965以降 ?  
形  式   シングル8マガジン使用(フィルム長15m
レンズ    FUJINON  1:1.1  f13mm 固定焦点 57
駆動方式   電動式 単三電池2本使用でフィルム10本撮影可能
コマ速度   18コマ/秒のみ
シャッタースピード 128
フィルム感度 ASA25 50 100 200 オートセット
重  量   315g

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●この方式から8ミリカメラは電動式となる。 (それまではゼンマイ巻上げ式)

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